2010年5月22日土曜日

茂木友三郎氏は社外取締役不適格:兼任数24の人物が行政刷新会議の議員をいまだに務めていることの馬鹿らしさ

茂木友三郎氏の行政刷新会議の議員を務めていることの問題点を手短に述べると、基本的には、公益法人との兼任の問題です。そもそも元通産官僚の児玉幸治氏が天下りの枠でHOYA株式会社の取締役におり、茂木氏はこれを容認しているのであるから、問題だと言わざるをえません。

というか、例えばみんなの党の政策では、「政策投資銀行、商工中金は、経済危機克服後、完全民営化」と公約しているが、児玉幸治氏は以前に通産産業省から商工中金の理事長として天下りしており、いわいる典型的な天下り渡り官僚です。茂木氏は児玉氏の取締役選任も責任を持っているのだから、行政刷新会議の議員に不適切だと言わざるをえません。以下、ご参考にして下さい。良識ある皆さん、そもそも国際的に日本の資本市場や政治がどのように見られるか、冷静に考えましょうね。こんな取締役会を放置しておいたら、日本の恥ですよ。


茂木友三郎氏の行政刷新会議の議員からの退任を求める要望書
「日本の資本市場の機能を考える国民会議」(代表 山中裕)

 民主党の目玉政策である行政刷新会議においては、茂木友三郎氏(キッコーマン会長)が議員についています。われわれは、茂木氏の現在の活動内容から考えるに、茂木氏は行政刷新会議の議員を自主的に退任するべきだと考えています。

 まず茂木友三郎氏は3月の時点で18にも及ぶ公益法人での理事長などのポストの兼任を行っていることが報道されています(例えば時事通信2010年4月2日。以下の事実関係は同報道による)。事業仕分けの対象候補として政府が先に公表した、過去に問題を指摘された50法人とは無関係である一方で、文部科学省と外務省が所管するユネスコ・アジア文化センターや農林水産省所管の食品産業センターなど国から補助金が支出されている法人のポストを兼任していることが明らかにおり、これに対して枝野幸男行政刷新担当相は、4月2日午前の閣議後の会見で、「(仕分け対象の)公益法人の選定に当たって、理事などの固有名詞は見ないで、事業の中身でセレクトしている。問題だとは思っていない」と述べています。しかしながら、茂木氏は以下で述べるように現時点でキッコーマンの最高経営責任者(CEO)を兼務しながら、2社の社外取締役、2社の社外監査役も兼務しており、行政刷新会議の議員も含めると24の兼任があるということになり、一般的な常識から考えて、「そもそも、一つ一つのポストに関する責任を果たすための時間がとれるのか」という当たり前の疑問がありますし、加えてすべてのポストで忠実義務を果たすには、24の役職の相互間に利益相反関係が生じないはずがありません。常識的に考えて、極めて異常なことだと言わざるをえないと考えられます。

 第二に、実際に行政刷新会議の議員として茂木氏の適格性に疑問がある、一つの実例としての前歴があります。茂木友三郎氏は現在HOYA株式会社の取締役を務めていますが、当社の取締役として、通商産業省の元事務次官である児玉幸治氏が付いています。児玉幸治氏は(茂木友三郎氏も同様ですが)、年間10回の出勤で年間推定1000万円の報酬を得ています。茂木氏は児玉氏の取締役就任を容認して承認していますし、行政刷新会議の趣旨と照らし合わせて、言行不一致もはなはだしいと考えられますし、公共性の高いはずの上場企業の取締役会を「仲良しクラブ」化させているのが実態です。茂木氏が役員についてから、当社の株価はほとんど上昇していないことからも、茂木氏が受託者責任を立派に果たしているとは言えないと思います。なおHOYA株主会社の正社員の平均年収は、(週5日朝から夕方までの勤務時間で)650万円程度です。

 第三に、茂木友三郎氏は、HOYA株式会社のペンタックス社の買収に対して、「この買収価格は適正でなく、(HOYA株主会社の株主にとって)利益にならない」という書簡を要望者から受領しながら、経営陣とのなれ合いの関係から会社にとって1500億円もの無駄遣いとなる買収案件に取締役会で異議を唱えませんでした。その結果、当該部門は赤字に転落している他、栃木県の益子工場ではカメラ部門の数百人単位の従業員がリストラの結果として失業し、家族ともども現在も仕事が見つからずに路頭に迷う事態となっている結果になっています。国の無駄使いをなくすための行政刷新会議についている議員が、別の上場企業の取締役会で経営陣の1500億円の無駄使いを放置していること自体が、極めておかしなことだと考えられます。

 第四に、現時点で、茂木友三郎氏は、複数の上場会社の社外取締役や監査役を務めていますが、カルパース(CalPERS)などの国際的な機関投資家の一般的な常識的要望としては、社外取締役の兼任は3社を上限とするべきですし、まして現職のCEOであれば自社以外で2社以上の社外取締役や監査役を務めるのは難しいと考えられます。まして行政刷新会議の議員は、今後の日本の行く末にとって極めて重要な職責を負いますので、これほどの会社の取締役や監査役を務めながら、兼任するというのは、不適切な形態だと思われます。

 第五として、以上のような茂木氏の対応が、メディアの批判的論調の対象になり始めているという点があります。例えば、ジャーナリストの田中幾太郎氏は「『偽りの米国流』で屈折するHOYA『父子鷹』経営」(「ZAITEN」2010年1月号)の記事の中で、茂木氏らが構成する社外取締役会を、「『仲良し老人クラブ』に集う社外取締役という〝藩屏〟」と項を設けて論調し、同社の社外取締役制度について、「『お手盛り』と言われても仕方ない人選だ」と批判し、「社外取締役も納得したという大義名分を与えるための存在」であるとして、「制度そのものがアリバイのためにあると言われてもしようがない」と述べています。また別の経済記者である有森隆氏は、「株主資本主義を体現する米国流経営と、息子への社長ポストの継承には論理矛盾がある」(『創業家物語』講談社2009年出版p.120)として批判していますが、この現状を黙認追認したのが茂木友三郎氏です。行政刷新会議も同様に、「制度そのものがアリバイのためにあると言われてもしようがない」と言われかねないと考えられます。さらには、「「社外取締役」 経営者“名義貸し”ネットワーク」(「ZAITEN」2010年3月号)という特集の中で、茂木氏はその兼任状況の異常さを、かなり激烈に批判されています。

 なお以上のような問題がありますので、要望者としてはHOYA株式会社に対してこれら問題を改善させるべく株主提案(2010年1月12日に本社株主総会事務局に到着)を行いました。①3社より多い兼任数の社外取締役の就任の禁止、②社外取締役の10回以上の連続の再任禁止、③累積投票制度を排除する定款規定の禁止、④株主総会の議決における秘密投票、⑤取締役の個別報酬の開示、⑥交換取締役の禁止、などからなる提案内容になっています。

 資本市場の機能を国際的な投資家から評価させるものに改革させて、日本人の持つ年金の利回りを向上させることは、日本の政治にとって非常に重要な意味を持つ課題だと思われますが、以上のような行動を考慮すると、はたして茂木友三郎氏がこういった問題に対してきちんとした見識を持っているとは全く思えないのが現実です。現実に、日経平均株価などの株価の指標を見ても、民主党の経済政策は2009年8月30日以降、必ずしも国際的な評価を得られていないのが現実ですが、行政刷新会議の議員である茂木友三郎氏の活動がこのようなものであることなどは、その否定的な側面の象徴のように見られているように思われます。すべての世代にとって、日本の金融資産の有効な運用は、国の無駄遣いの削減と同じような重要性を持つはずです。若い経済人や経済の専門家は少なからずいます。現政権としては、旧政権からの引き継ぎ人事である茂木友三郎氏を行政刷新会議議員から退任させて、国際的な資本市場の皮膚感覚を備えた、新たな人材を行政刷新会議の議員として選出されることを強く要望します。

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