2008年4月12日土曜日

HOYAのCOOに浜田宏氏就任

表題の件については、すでにいくつかのメディアで報道されています(例えば以下のリンク)が、私からもコメントしたいと思います。

HOYA:COOにリヴァンプの浜田宏氏
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080404k0000m020038000c.html

すでに別のところで述べているように、私はHOYAの最高経営者としては、実績ある専門経営者を雇うべきだと考えていたので、浜田氏が最高執行責任者に就任することは、ほとんど私の理想に近い人事。なお私は従来より、樋口泰行氏(前ダイエー代表取締役、現マイクロソフト日本法人代表執行役最高執行責任者)や、藤森義明氏(GE本社上席副社長)などの名前を具体的にあげて、専門経営者の採用を主張してきた。ただし、HOYAの株主価値が8年間の間に、一向に上昇しない理由は、新規事業への正しい投資がここ8年間にわたって、まったく行われていないことに集約されるため、仮に浜田氏が有能な実務家だったとしても、この点が改善されなければ、本質的な問題の解決にはならないことを、株主は理解しておく必要がある。また浜田氏自身がおそらく認識しているように、本人はもともと理系のバックグラウンドを持った経営者ではないので、それを補完する人材が必要。

数年前の株主向け資料に、ベンチャー投資と社内の技術開発を「両輪」として、新規事業の創出に取りくむ旨が、鈴木氏の署名入りで、記述されている。ならば、90年代終わりころからのベンチャー投資がすべて破産に終わっていることの現状と、抜本的な解決案を、鈴木洋氏はきちんと誠実に、株主に説明してほしい。失敗することが悪いのではなく、失敗するようなアプローチを、反省もなく放置していることと、まったくうまくいっていない投資をあたかも先端的なことをやっているように、週刊誌の対談でしゃべっていることは、株主に対する背信行為。 この時期から、新規事業の創出に成功していないから、HOYAの株価は2年で半分になってしまった。
http://www.arukikata.ne.jp/daigaku-net/news_152.html

また技術担当者の丹治宏彰氏は、ここ8年にわたってなんら新規事業の創出における実績を示せなかったし、投資案件もすべて失敗に終わっているので、本人のためにも、なるべく早く交代させるべき。2006年1月13日に発表している出資先であるエクスポーントフォトニクス社(Xponent Photonics)は破産した上で、HOYAが二束三文の知的所有権を買い取った結果に終わった模様(以下のリンクを参考)だし、2004年に買収したRadiant Images社も、日本の同業の会社に特許等の権利を安値で売却して終わりにした。新規事業や投資のセンスがない人が、その担当についているのは、すでにいままでの8年間で明らかなように、株主にとっては不幸なことです。

Xponent社のサイト
http://www.xponentinc.com/index.htm

Radiant Images社創業者のCardinal Warde教授の情報(文中に、“It's no wonder his company, Radiant Images, responsible for the management of the liquid crystal display (LCD) in micro displays that made the 3D images possible, was bought by a Japanese company, Hoya Corporation.”とあります。)
http://www.nationnews.com/story/291203758602647.php

下のリンクを参照。「「GE-PON」用光トランシーバの初年度の売上を6億円と見込んでおります」と書いていますが、2007年までにいくら売り上げがあったか、株主に説明してほしい。Radiant Images社の件も同様。鈴木氏は口先ではなく、本当に反省することから始めなくてはならない。
http://www.hoya.co.jp/CACHE/japanese/news_content_newsobj297.cfm

他にも、例えば以下のニュース(2002年5月発表の、HOYA、SiC其板の開発、製造子会社を設立について)でも、2002年における「半導体素子材料であるSiC基板の開発・製造・販売を行う子会社『HOYA アドバンスト セミコンダクタ テクノロジーズ』」の設立について、「設備投資金額は2004年度までに合計で26億円。設備投資の内訳は以下の通り。2002年度が工場の基礎工事費、装置などに7億2000万円。2003年度は結晶成長装置の増設、デバイスの試作装置などに7億6000万円。2004年度は量産設備に11億3000万円。設立5年後には、売上高40億円と株式上場を計画している」とありますが、6年たっても何の成果もないことは、利益に貢献するような事業の創出が行われていないことから、明らかです。

HOYA、SiC其板の開発、製造子会社を設立(2002年5月28日)
http://www.edresearch.co.jp/mtb/0205/111.html

HOYAの事業領域は、ガラス等の材料科学と、眼科を中心とした医療領域の2つの異なる領域があるので、無機材料の専門家で半導体製造装置を扱っている人間に、眼科の新しい治療法のことはわかるはずがない。少なくとも技術開発に関して限定して、材料科学を担当する責任者と、眼科領域を担当する責任者の、別々の2名に担当させるべき。

また以前から言っているように、ペンタックス社の買収はHOYA株主の価値を毀損したので、反省してきちんとその事実を認めること。2011年3月にのれん代を除く営業利益率を18%にすることを目指すといっているが、できないことを株主に示すこと自体が、失礼な話ではないか。

HOYA株式会社のホームページ
http://www.hoya.co.jp/japanese/index.cfm

HOYAの経営に関する私の文章(2008年1月3日)http://yutakayamanaka.blogspot.com/2008/04/hoya_08.html

HOYA株式会社最高執行役に浜田宏氏就任のニュースリリースhttp://www.hoya.co.jp/data/current/newsobj-578-pdf.pdf

HOYA株式会社R&Dのページ
http://www.hoya.co.jp/japanese/company/company_06.cfm

HOYA株式会社の経営理念のページhttp://www.hoya.co.jp/japanese/company/company_03.cfm

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

果たして浜田氏を含め、現在のHOYAの方々が最終製品のマーケティングにおいて画期的なアプローチを創出できるのか、その点が最も大切な点ではないかと思いますが、いかがですか?ペンの買収を含めてB/Sが以前より弱化している以上、開発以上にこれまで手に入れたものをどうやって付加価値をつけて市場をとっていくのか、この点において、果たしてデルで成功したアプローチ(本社のスタイルをアレンジしたもので、画期的なアプローチとはいえないでしょう)で成功するのかが疑問です。いかがお考えになりますか?

匿名 さんのコメント...

ペンタは買収して1年以上経っても、不良債権化しているだけで、なんら成果がありません。経営陣の退陣を求めたらいかがでしょうか。なんでまだ黙っているのですか。