2013年6月1日土曜日

平成25年6月21日開催予定のHOYA株主総会招集通知における重大な違法行為

会社は、以下の議案とその提案理由を、今回の株主総会の提案理由でも、一方的に不記載にしています(新株予約権の議案や、河野氏と江間氏の取締役選任議案は会社が提案していないので、反対提案や修正提案を不記載にしても問題ありません)。
会社提案の取締役選任議案の反対提案の議案の要領と提案理由を掲載しないと、明らかに取締役選任議案の決議取消事由になります(東京地方裁判所商事研究会編 『類型別会社訴訟Ⅰ・Ⅱ』の該当部分等を参照)。

特に、以下の議案のうち、取締役の選任議案に対する反対提案やその理由を不記載にすることは、株主による取締役選任権や議案の要領と提案理由の通知請求に対する重大な侵害です。

第11号議案 定款一部変更の件(代表執行役と最高経営責任者の世襲禁止)
[反対提案1]議案の要領:鈴木洋を取締役として選任しない。
[反対提案3]議案の要領:茂木友三郎を取締役として選任しない。
[反対提案4]議案の要領:児玉幸治を取締役として選任しない。
[反対提案6]議案の要領:小枝至を取締役として選任しない。
[反対提案7]議案の要領:麻生泰を取締役として選任しない。

以下の事態は、株主総会の運営という株主と取締役の間の唯一とも言ってよいような機会においてでさえ、取締役会による会社経営の適法化を担保するための最低限の自浄作用が機能していない証拠です。株主の皆様におかれましては、企業統治を適正化するために、少なくとも、鈴木洋氏、茂木友三郎氏(78歳)、児玉幸治氏(79歳)の取締役選任に反対してください。

HOYA株式会社 平成25年6月21日開催予定の定時株主総会の委任状勧誘参考書類

HOYA株式会社 平成25年6月21日開催予定の定時株主総会の委任状勧誘参考書類

私たちは、「HOYA株主の会」(「HOYA企業統治適正化委員会」に名称変更を検討中。暫定代表は株主山中裕を結成し、HOYA株式会社に株主提案を行っています。その目的は、同社の不適切な企業統治を是正し、さらには健全な取締役会のもと、材料科学の研究開発と眼科医薬部門への積極的に投資により、時価総額5兆円を目指せるような経営陣(なお当会ではオリンパス元社長のマイケル・C・ウッドフォード氏を有力な代表執行役候補者として指名委員会に推薦し、はたらきかけている)に刷新することを目的としています。「HOYA株主の会」としては、特に株主の皆さんから、以下の委任状をいただきたいを考えています。
(1)会社提案の取締役候補 鈴木洋、茂木友三郎(指名委員会委員長)、児玉幸治(監査委員会委員長)の3名は選任に特に反対(反対提案に賛成)。取締役候補 麻生泰、小枝至についても、反対(反対提案に賛成)。
(2)指名委員会から独立した取締役候補である高山征治郎弁護士選任議案に賛成(提案者は、高山氏から、社外取締役に選任された場合の就任承諾を得ています)。
氏名 高山 征治郎
生年月日 昭和14年(1939年)1月21日
略歴 昭和43年4月 弁護士登録(東京弁護士会所属)
昭和55年 日本弁護士連合会常務理事、財団法人法律扶助協会常務理事。弁護士として、上場企業を含む数十社の顧問等を務めたほか、法律事務所では、弁護士出身の国会議員である枝野幸男前経産大臣(民主党)や森雅子現少子化担当相(自由民主党)などの以前の上司としても知られる。
(3)企業統治を改善する定款一部変更議案(役員報酬の報酬個別開示、株主提案の議案説明文字数の1000字への増加、白票を会社提案については賛成、株主提案については反対とすることの禁止、執行役を交えない経営会議開催義務、取締役会議長と最高経営責任者の分離、監査委員会における告発窓口の設置、取締役会のためのリーガル・カウンシルの設立、委員会の執行役の承認を受けることなく使用できる予算枠の設置、代表執行役と最高経営責任者の世襲禁止)に賛成。
(4)会社の提出する新株予約権(「ストック・オプションとして新株予約権を発行する件」という議題)の反対議案に賛成、修正議案(「鈴木洋氏には新株予約権を付与しない。」との条項を、新株予約権発行の条件として、会社提案の新株予約権議案に対して明記する修正議案、「取締役本人および第一親等内の親族及び婚族の過去5年間の株式売却に関する情報の開示を条件とする」との条項を、会社提案の新株予約権議案に対して明記する修正議案、「行使価格を固定せずに日経平均株価のインデックス連動型の新株予約権とする追加条件を付与する」との条項を、新株予約権発行の条件として会社提案の新株予約権議案に対して明記する修正議案、「ペンタックス買収の失敗を含む技術経営の成果に関する第三者委員会を設置する」との条項を、新株予約権発行の条件として会社提案の新株予約権議案に対して明記する修正議案)に賛成。

(1)HOYA株価が低迷している理由
この会社の株価が中長期的に低迷している理由について、主力事業であるフォトマスク、マスクブランクス、ガラス磁気ディスク基板、眼内レンズ、コンタクトレンズ小売などの事業は、80年代までに作られたものであり、鈴木洋氏ら現経営陣の実績によるものではない、という理解が重要です。特に初代アイポットに内蔵されたHDDガラス基盤は独占していたので、2000年代半ばまでは高い利益を創出していたものの、その時点で代替品のフラッシュメモリーが近い将来台頭してくることはわかっており、だからこそ当時から別の将来柱となる事業を育てなければいけなかったのに、当時の経営陣である鈴木洋氏らは、一切真剣にこういった課題に取り組みませんでした。その代わりに行ったのは07年のペンタックス買収であり、こういった脈絡のない企業買収が当社の株価に極めてネガティブな影響を与えたのは、もはや誰の目にも明らかです(「HOYA株主の会」代表の山中裕は、2007年の時点でペンタックス買収に反対しています。日経ビジネス「HOYA、ペンタックス後の試練 鈴木洋代表執行役に親族からも批判の声」(2007年5月28日記事)を参照)。また13年来研究開発に脈略無い意思決定が継続し、取締役会によっても放置されています。①小林哲博士によって直近日本物理学会から受賞までしている無機EL研究を脈略なく突如として中止したこと、②見込みのない3C SiCの研究開発を継続したこと、③光通信部品エクスポーネント社への投資の失敗などであり、技術経営に関する支離滅裂な意思決定が継続していることにより、研究開発に事実上まったく成果がありません。またメディア事業の売却もネガティブな中長期的な企業価値からすると意思決定でした(中長期的な技術差別化要素を放棄し、当社はガラス板を供給するだけのメーカーに成り下がる結果になりました)。
詳細は紙面の制限もあり別に譲りますが、私たちとしては、①材料科学の研究開発に注力すること(特にサムソン横浜研究所に転籍した小林哲博士は1億円を払ってでも呼び戻すべき。東工大の細野秀雄教授ら材料科学の専門家を顧問に迎えるべきこと)、②眼科医薬の事業に参入すること(ユタ大学のバラ・アンバッティー博士らを顧問に迎えること)、の2点を特に推奨しています。当社の経営優位性があるのは、第一にガラスを中心とする材料科学分野の研究開発であり、第二には眼科領域です。眼科は特に世界的にも高齢化に伴い高成長を遂げている事業分野で極めて有望です(スイス同業のアルコンの時価総額は5億円近くありました)。ペンタックス買収を行うのであれば、加齢黄斑変性症の新薬候補でも買収するべきだったのです。そして重要な点として、以上のような問題について取締役会はいままで無関心であり、実質的に何の是正措置もとってこなかったことであり、このことこそが株価低迷の根本的な原因なのです。

(2)当社の執行役の能力と取締役会の不作為の罪
世襲経営者である鈴木洋氏は、昨今の経営者に必要とされている経営学大学院レベルの教育水準もなく、同氏が90年代後半のシリコンバレー滞在中に行った投資は10件余りすべて破産し、会社に数十億円の損害を与えています。もともと鈴木洋氏には、企業買収や新規事業などの投資で価値を創出する実績もなく、それをなしうるかどうかについても疑問を持たざるを得ないことを、強く主張しておきたいと考えています。萩原太郎氏も実質的に取りやめとなった日産自動車の燃料電池部門の開発責任者であり、特に新規事業等に実績もなく、学歴も東大機械工学科卒(学士)であって、その後に研究論文執筆や学会発表などの実績もなく、材料科学と眼科を主力事業とする(するべき)当社の技術担当の執行役としては不適任です。いい加減、当社では経営者の世襲は止めにするべきです。少なくとも、鈴木洋氏の外に、ペンタックス買収に賛成した茂木友三郎(78歳)、児玉幸治(79歳)の2名の取締役は早期に退任するべきで、常識的に考えて、70代後半の取締役が指名委員会や監査委員会のトップに居座っていること自体が極めて異常であり、早く新しい後任を見つけ、地位から去るべきです。また当社は、2010年に丹治宏彰氏(元最高財務責任者、元執行役、元取締役)が退任し、2012年には浜田宏氏(前代表執行役)が退任、そして今年の総会では江間賢二氏(取締役兼最高財務責任者)が退任します。特に浜田氏については、2011年11月に医療部門を強化するために代表執行役になると発表されたのに、翌年の4月には辞めることが発表され、6月の総会には出席もせず退任するなど、異常事態が続きています。このように現在の指名委員会は、後継計画を作成し、執行役を選任する努力を怠っていることは明らかです。
私たちは、少なくとも鈴木洋氏と萩原太郎氏を経営陣から外すべきですで、後任代表執行役として、欧州オリンパス事業を伸ばすことに実績もあるオリンパス元社長のマイケル・ウッドフォード氏が有力な候補だと考えています(同氏からは代理人を通じて「HOYAのことは尊敬しており、取締役会や国内の投資家も歓迎するのであれば、(HOYAの経営者になる)就任を考えたい」というコメントをもらっています)。

(3)不適切な企業統治の状況(株主権に対する不適切な扱いや、株主総会参考書類への虚偽記載)の放置と監査委員会の機能不全
当社取締役会は、株主提案の議案を取り上げないというような、株主権に対する不適切な扱いを複数年にわたって繰り返しています(以下の経緯を参照)。
9年総会 丹治宏彰氏の解任議案を総会に付議しなかった(慰謝料請求訴訟の対象:東京地裁平成24年(ワ)第14392号)。なお丹治氏は10年で当社から完全に退任。
10年総会 20議案のうち、取締役の解任議案、倫理規定の作成に関する定款変更議案等を不記載にした。(同慰謝料請求訴訟等の対象)
11年総会 東京地裁民事8部で一旦は和解成立。その後総会での動議無視、説明義務違反等につき、決議取消訴訟(最高裁係争中)も提起される。
12年総会では、株主提案を一つも取り上げないなどという前代未聞の事態(決議取消訴訟(東京地裁平成24年(ワ)第26403号)が審議中。慰謝料請求訴訟も近日中に提起予定)。
13年総会では、株主提案の提案理由の掲載を拒否していた会社側に対し、ついに仮処分で一部株主側勝訴の決定(東京地裁平成25年(ヨ)第20021号株主提案議案等記載請求仮処分事件)。
詳細については反論があり得るとしても、少なくとも提案者の主張内容は事後的に振り返ってみて、ペンタックス買収への反対や、取締役の再任回数制限9回に関する会社側説明(10年総会株主提案の後の11年総会答弁)、企業統治改善に関する定款変更の提案に40%前後の高い賛成票が得られていることなどから、取締役会は真摯にその主張内容についても対話等を試みるべきであるのに、いたずらに提案者を誹謗するような書面を裁判所に提出し続けています。もともと当社の役員らはなるべく紛争や会社の評判を下げるような事態を避けるべきです。
また当社は11年の株主総会招集通知において、「なお、当社では、昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更、ならびに、社外取締役のみの会議開催に. 関する定款変更に関しましては、提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております。」(11ページ)と株主に誤認させる記載を行いました。会社は株主の株主提案の説明理由につき、一方的に議案に関する説明文を削除しており、4000字までの記載を認めるとした「提案の趣旨に沿って」などというのは明らかに虚偽であり、また「執行役を交えない経営会議」についての報告は、開示資料から「その活動について少なくとも年に1度株主に報告しなければならない」したことはなく、一切見当たりません。このように株主総会参考資料に虚偽の記載をして公然と自浄作用が働かないこと自体が、取締役会や監査委員会の機能不全を表していると言わざるを得ません。
さらに本件株主提案では、ついに東京地裁民事8部(商事部)で、株主提案の提案理由を全文記載することに関する保全事件(東京地裁平成25年(ヨ)第20021号事件)で、一部勝訴の決定を得ることができました。これは前代未聞の裁判所の決定です。株主重視の建前であれば、企業統治で重視されているプロキシアクセス権といわれる、招集通知に株主による株主提案の提案理由を400字だけ記載することに、そもそも取締役会は抵抗するべきではなく、いかに当社の取締役会が企業統治の建前と実際にやっていることがずれているかが示されています。このような状況を積極的に主導している鈴木洋氏や、茂木友三郎氏、児玉幸治氏らは、責任を追及されるべきです。茂木氏再任は、取締役の再任回数制限9回とした11年総会会社側答弁と矛盾しており、児玉幸治氏は事故が多発して営業が一時中断していた東京ドームの監査役であり、また株主権という国際的な投資家が信頼を置いている要素に対し、監査委員長として誤解をまぬかれるような対応を公然と放置し、裁判所から提案理由全文記載を決定される事態を招いている責任も取るべきです。
当社では、中川知子氏という経営企画室幹部(「HOYA従業員持株会」理事長も兼務)が実務を実質的に支配しており、例えば同氏は株主総会参考資料の株主提案に対する取締役(反対)意見のドラフトを作成していることも明言しています。今年の株主提案に関する仮処分でも、中川知子氏が東京地裁民事8部の別室に控えており、会社と鈴木氏・萩原氏らの代理人である手塚裕之弁護士らは、いちいち審問室から出て行って、中川氏にお伺いをたてています。中川氏の行為は取締役会の機能や責任にオーバーライドしており、社外取締役が過半数の委員会設置会社においても、実質的に執行役傘下の一部経営幹部に多くの業務を実質丸投げしているか、少なくとも判断となる事実関係の情報を大きく依存していているため、鈴木氏らの問題のある行動に歯止めが利かないという、不適切な企業統治になっている疑いが濃厚です。このような企業統治は変えなければいけません。また報酬個別開示の議案は11年の総会で48.47%の賛成を得ていますが、取締役会はいまだこれだけ高い株主意思が示された提案内容を、実質的に実行しようとはしていません(中川氏が理事長の「HOYA従業員持株会」と鈴木哲夫氏の議決権行使を除くと、賛成率は50%を超えていたと思われます)。
かかる異常な事態を改善するため、指名委員会から独立した社外取締役候補を1人でも取締役会に送り込むことは、企業統治の改善につながり、ひいては経営行動についても株主の利益につながると考えますので、弁護士に高山征治郎氏に快諾をいただき、取締役候補にすることにいたしました。また特に鈴木洋氏、茂木友三郎氏、児玉幸治氏の取締役再任には反対します。
小枝至氏については日産自動車時代に自分の部下であった萩原太郎氏を代表執行役にしていることに反対している証拠がないこと、麻生泰氏についても鈴木洋氏の義理の兄である金田勝年氏は麻生太郎財務相が小泉内閣外務大臣時代に副大臣を務めるなど密接な人間関係があることなどから実質的に独立性がないと考えられ、また両氏とも不適切な株主提案権に対する扱いに積極的に反対している形跡が得られないことから、当会としては、選任に反対しています。
また新株予約権議案についても、当社は新株予約権を発行しても、株価の上昇につながっていないことに加え、以上のような企業統治や経営戦略の問題が放置されていることから、株主の皆さんに反対の意思表示をしていただきたいと考えています。そうでなければ、問題があることを容認した議決権行使結果になってしまいます。また詳細は記述しませんが、鈴木氏に新株予約権を付与しても、スズキインターナショナルや同氏の父親である鈴木哲夫氏らはその額をはるかに上回るような株式数の売却を行っており、鈴木洋氏親族の株主の売却には、特に監視が必要です。
なお会社提案の新任の取締役候補である内永ゆか子氏、浦野光人氏については、現在までのところ問題がないとは言い切れないにせよ、賛成していただいて結構です。

委任状は、少なくとも6月20日には送達するように、以下に送付してください。
松尾千代田法律事務所 弁護士 松尾明弘 宛て (電話番号 03-5209-0120)
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1丁目19  梅村・明照ビル 3F

勧誘者の連絡先
HOYA株式会社株主 山中 裕(HOYA創業家出身株主)
Twitter アカウント @yutakayamanaka、ブログ yutakayamanaka.blogspot.com
HOYA株主の会のFacebookページ(HOYA株主の会で検索し、いいね!をお願いします。)
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一人でも多いHOYA株主の皆さんとともに、新しい日本の企業統治と資本市場の歴史を作っていきたいと考えています。
以上。