2011年6月24日金曜日

社外取締役の任期に関する成果:社外取締役の再任回数は原則9回と説明

先日の株主総会で、社外取締役の再任回数は原則が9回であると設定しているとの言質を取りました。小生が平成22年6月18日の総会で指摘している(もし詳細をご覧になりたい方は、東京地裁裁判所の決議取消訴訟の裁判記録をご覧になることをお勧めします)ように、ロンドンの証券取引所のルールでは、「取締役新任時から9年以上経過している場合」には原則として独立性がないと判断されるのですが、言論を持って企業統治を変えていくことができていることは、画期的だと思います。

再任回数の定義は若干不明ですが、就任した後9回再任されるとすると、10年で任期が終了するという意味なのでしょうか?
これに従えば、茂木友三郎は来年までに、河野栄子の再来年までには、原則に従えば、任期を迎えるはずですので、もしこの2人が退任すれば、今回退任していなくなる椎名武雄氏と合わせて、ペンタックス買収時の承認をした取締役は、過半数がいなくなることになります。ちなみに椎名武雄氏がなぜ16年の任期があったのか、不思議であります。椎名氏の存在自体が、取締役会が仲良しクラブ化していたということだと思います。

なお茂木友三郎氏に関しては、議決権行使助言会社3位のの日本プロキシガバナンス研究所(吉岡洋二所長)が去年も再任に反対していますし、議決権行使助言会社世界2位のグラスルイス社も今年は再任に反対しています。本来ならば、より若くて優秀な社外取締役を選任して、自らは身を引くべきでしょう。以前からいっているように、椎名武雄氏や茂木友三郎氏は、日本の社外取締役制度を形骸化させた罪を背負っています。早く自らの罪を認めて、謝罪してもらいたいものです。

昨年の総会で、多くの同世代の株主に、賛同の声を上げていただけたことが、変革の力になっていることを実感しています。発言すれば、変わることができるのですよ。本当にありがとうございました。

HOYA、社外取締役の再任は原則9回と説明=株主総会で 6月21日(火)15時20分配信 時事通信
 光学機器メーカー、HOYA<7741>は21日の株主総会で、議長の鈴木洋最高経営責任者(CEO)が社外取締役の任期について、「再任は原則9回」に制限していることを明らかにした。ただし、取締役全員の合意があれば、引き続き務めることができるとしている。
 今年で在任10年となる茂木友三郎取締役(キッコーマン会長)の再任については、議決権行使助言会社グラス・ルイスが反対意見を表明していた が、選任議案が可決された。
 総会の開催時間は2時間5分で、昨年より33分長かった。会社側が提案した取締役選任など2件は可決。一方、創業家の山中裕氏が提案した取締役 と執行役の報酬個別開示など、株主提案20件は全て否決された。(了)


<参考>(『委員会等設置会社ガイドブック』宍戸善一・広田真一編、日本取締役協会著、2004年東洋経済新報社、109ページから110ページより引用、なお下線部は提案者による)
英国財務報告評議会(FRC)改定統合規範(THE COMBINED CODE OF CORPORATE GOVERNANCE: JULY 2003)
取締役会は、独立性を有していると判断される非業務執行取締役と、年次報告書で特定しなければならない。取締役会は、その非業務執行取締役が、見解と資質において独立しているか否か、取締役会の意思決定に対し相当の影響を及ぼす関係または状況にあるか否かを決定しなければならない。また、取締役会の決定に影響を及ぼすかもしれない関係と状況(以下に定める例を含め)が存在するにもかかわらず、該当取締役が独立性を有すると判断するならば、取締役会はその理由を説明しなければならない。
・過去5年内において会社またはグループ会社の従業員だった者
・過去3年内において、会社と重要な取引関係があったこと(直接のほか、パートナー、株主、取締役、または会社と関係のある法人格の上級従業員としても含む)
・取締役としての報酬、会社のストックオプションまたは業績連動型報酬計画の参加者、会社の年金制度の一員としての支払いのほかに、会社から何らか別の報酬等を受け取っていた、または受け取っている場合
・会社のアドバイザー、取締役、上級従業員と強い親族関係がある場合
・役員の相互持合い、他の会社または法人格も含めて顕著な相互関係がある場合
・主要株主の代表
・取締役新任時から9年以上経過している場合

2011年6月17日金曜日

江間賢二氏(HOYA株式会社最高財務責任者)の居住地に関する重大疑惑

小生は先月5月25日に江間賢二氏に対して、数多くの違法行為を放置しないように、さいたま地裁川越支部に仮処分申請(事件番号平成23年(ヨ)第27号)を行いました。するとまた以前の会社相手の保全事件の代理人である法務省民事局出身の元検事である泰田啓太氏(松尾・桃尾・難波法律事務所)ほかの弁護士が3人も出てこられて、「江間氏は東京の**区に住民票があり、管轄違いである」との主張を、本人の住民票を証拠資料として提出してきました。なお裁判官の勧告に従い、本仮処分申請はさいたま地裁川越支部ではいったん取り下げました。

ただそもそも、江間賢二氏はオランダに常駐していると発表されていたはずで、本人の住民票が東京にあること自体が、住民基本台帳法違反や公正証書原本不実記載罪になるのではないかと思いました。

次に監査委員長の児玉幸治氏(元通産産業省事務次官)に、このような違法な行為があったにもかかわらず、定時株主総会で法令または定款に違反する事実はない旨の報告を行うなという保全の申し立て(事件番号平成23年(ヨ)第276号)を、横浜地方裁判所に行いました。すると児玉氏は社外取締役であるにもかかわらず、また執行役の雇用している泰田啓太氏(元検察官)、脇田未菜子氏(元裁判官)ら、松尾・桃尾・難波法律事務所の代理人で出てきて、「江間氏は生活の本拠地を東京の**区においている」旨の反論を書面でしてきました。

以上には以下のような問題があると思われます。

①江間氏がオランダに在駐しているのならば、東京都に住民票を置くのは住民基本台帳法違反、公正証書原本不実記載罪(最高刑は懲役5年)の疑いがある。なお「公正証書原本等不実記載罪」は,公務員に対し虚偽の申立をして,権利・義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせるという犯罪です。

(公正証書原本不実記載等)
157条1項 公務員に対し虚偽の申立てをして,登記簿,戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ,又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者→ 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金


②以前にオランダに常駐していると日経新聞等が報じている(例えば吉永康樹氏のブログ記事「HOYA1200億円還流」などを参考)のに、江間氏が実は東京を拠点としているのであれば、オランダを実質的に財務拠点としていることでの税制措置を受けていることが覆される可能性がある。このことの租税上の負担額増加は、もし税務否認や追徴課税等が行われれば、数百億円単位である。レピュテーション等のリスクも無視できない。

③以上のような問題があるので、監査委員長の児玉幸治氏が、「江間氏の生活の本拠地は東京」と裁判所で代理人が述べているのは、虚偽の事実を伝えたか、あるいは児玉氏が執行に関する何の監督も行えていないことを明確にしている。

④さらに指摘すれば、江間賢二氏(最高財務責任者・執行役)と児玉幸治氏(社外取締役・監査委員長)の代理人が、同一の弁護士(本件では、泰田啓太氏ら)であることに大きな問題がある。社外取締役が執行役の弁護士とは異なる法律顧問を雇用するという議案を提出していますが、実質執行役も社外取締役も、中川知子氏によって同一の弁護士が代理人として選出されているわけで、監査委員長の保全事件の弁護士が、中川知子氏らが普段使っている弁護士だったら、中川知子氏の違法行為を指摘するでしょうか。監督される側と監督される側が同じ弁護士であるなど、企業統治の観点から見れば、完全な利益相反です。

昨年度の株主提案で適法な議題を取り上げなかったことなどの、中川知子氏らの違法行為、そしてその違法行為を素直に認めて再発防止に心がければいいのに、不正行為をさらに大きい不正行為で隠ぺいしようとする中川知子氏らの行動に、社外取締役らが何の監督の意思も持っていないことが、企業統治の破たんであり、最大の問題だと思います。検事や裁判官などの社会的に重要な立場を経験された弁護士ならば、なおさらその職業的な倫理の重要性を認識していただきたいものですね。言い換えれば、「事件屋に堕ちるな」ということです。

しかし松尾桃尾難波法律事務所ですが、本当にHOYA執行役には弁護士がアドバイスしているんでしょうか。小生には着手金欲しさに事件がわざと揉めるように誘導しているとしか思えないですね。松尾眞弁護士とかいうのは、もはや法律家として危機管理等を論じる資格などないでしょう。

2011年6月12日日曜日

児玉幸治氏(元通商産業省事務次官)はあらゆる公職から退任を

東京電力経済産業省(旧通商産業省)や学会・メディアなどとの癒着が批判の対象になっています。小生は児玉幸治氏(元通商産業省事務次官)がいまだに公然と上場企業の社外取締役などのポストについて、公然と居座っている事実に唖然としています。児玉幸治氏は、あらゆる公職から退任するべきだと思います。

簡単に思いついた理由を考えてみますが。

HOYA株式会社の監査委員長として、ペンタックスの買収を承認したこと、その後の中川知子氏による不正行為の連発に代表される内部統制システムの崩壊に対して、何ら積極的な行動をとらなかったこと。なお平成22年6月の株主総会の株主提案議題を一方的に招集通知に不掲載にしたことについては、本年度の総会では取り上げている議題があるので、平成22年の違法行為を認めたのに等しいですし、児玉氏を相手方とする仮処分申請でもこの点については、泰田啓太氏ら代理人弁護士は何ら書面で反論をしていません。語るに落ちたというべきですし、昨年度の違法行為の存在については、きちんと監査委員長として株主総会で株主に報告するべきです。

東京ドームの監査役として、度重なる死亡事故等の不祥事になんら事前の対策を打てなかったこと。人が死んでも平然としていられる人間性がそもそも大問題。2010年11月に女性従業員が「タワーハッカー」の点検中に指3本を切断する事故、同年12月に「サンダードルフィン」のボルトが落下し、客の小学生が怪我を負う事故、2011年1月に客の男性会社員が「スピニングコースター舞姫」から転落し死亡する事故を相次いで起こしている。かかる重大な事故等が連発しているのは会社としての内部統制の問題、さらに内部統制の構築義務を監督・チェックする義務を負う監査役の責任であって、法的責任だけでなく、道義的な責任は免れないはずです。

③これだけ経済産業省と電力業界の癒着が批判される中、通商産業省の元事務次官を社外取締役にするべきではない。長年霞が関のキャリア官僚として人生の過半を過ごした人材は、株主の観点から独立の社外取締役であるとも認められない。なお児玉氏の天下り先である商工中金は、民業圧迫の存在です。

④そもそも80年代後半に事務次官をやっていたわけですが、少子化対策も先進国最低ですし、彼らの世代の政策が悪かったから、今の日本の低迷があるんじゃないのか?

⑤いわいる天下り、渡りの元官僚です。

まあもう70代後半の年齢ですので、そろそろ後進に地位を譲るべきでしょう。

児玉氏の名誉のために言っておくと、公人的な側面でおやりになってきたことを小生はあまり評価しませんが、普通に接してみれば人のよさそうなおじいさんです。ただ、人のよさそうなおじいさんだけでは、今の難局を乗り越えることはできないのです。いい加減、我慢の限界であるはずです。

2011年6月8日水曜日

株主提案理由の質問は、Yahoo! の掲示板でお受けします。

株主提案理由に関する質問は、以下の掲示板でお受けしますので、ご質問があり、提案者である小生に聞きたい方は、Yahoo!のアカウントを作成したうえで、質問をしてください。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=q&board=7741

もともと株主提案権の立法趣旨は、株主間や株主と取締役のコミュニケーションを行うことにありました。ですから、コミュニケーションができることは、素晴らしいことなのです。

なお会社は、一方的に小生の株主提案の説明理由を削除するなどの行為を行っています。前年度の説明文字数増加議案の多数の株主が示した意思を踏みにじるものであり、断じて認められません。事後的に公開の法廷で争います。ただ椎名武雄氏が自主的に取締役から退任することは、すでに株主提案が成果を上げているという意味では、積極的に評価できると思います。

2011年6月4日土曜日

議員立法機能の上昇が国難克服のカギ

自分自身がヘッジファンドの投資手法を開発しながら、東京地裁民事8部で本人訴訟をやったり、仮処分申請を行ったりする、おそらく比較的希少性の高いであろう様々な体験からつくづく思うのですが、日本の政治経済システムの最大の問題の一つは、立法機能を実質的に霞が関の官僚が独占していることだと思います。

すでに述べたように、法治国家たる日本では、法律の最終的な解釈権は裁判所が持っています。地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の順に上位に位置づけられますし、私の提起している株主総会決議取消訴訟の最初の担当判事だった福井章代裁判官がなっていた最高裁判所の調査官というポジションは、裁判官のキャリアの中ではエリートコースとされる分野です。彼らは法律の解釈者ですので、「会社が適法な株主提案の議題を株主総会で取り上げなくても、会社が提案した議題・議案の取消事由にはしない」という判決を、いわば解釈で行っているわけです。しかしながら、国会で「会社が適法な株主提案の議題を取り上げなかった場合は、当該株主総会でのすべての決議を取消しとする」という条文を、会社法改正案として衆議院と参議院で可決し、国会で成立させれば、裁判官は従わざるを得ないわけです。従って、私の思い描くような資本市場を作るためには、立法活動は極めて重要なのです。

あまりよく知られていないかもしれませんが、衆議院と参議院にはそれぞれ衆議院法制局参議院法制局があります。国会議員が議員立法をするときには、これら事務局が、他の法律との関係などを含めて対応することになっています。原則立法の事務局ですから、人事という意味では、比較的霞が関からも独立しています。ただし、司法修習の期間に修習生が交流することはあるみたいです。

ところが実際のところ、日本では政府提出の法案がほとんどであり、その作成は霞が関の官僚諸氏が行うわけです。すると霞が関の官僚の行動原理は、基本的には自らの省庁の天下り先の確保ですから、そこのところで徹底的に骨抜きをされるわけです。法務省の法制審議会も同じような機能です。法務省民事局のキャリア官僚(過去に太田洋氏や泰田啓太氏なども所属)などは、東京地裁民事8部の若手裁判官と同じように、企業法務を行う弁護士事務所へのパートナー弁護士としての転身を狙っていたりしますので、少なくとも大多数の国民の利益とは別個の方に目が向いているわけで、それに比べれば、選挙で落とされることにおびえている衆議院議員に権限を与えることは、必要ですばらしいことなんですね。

ただし、国会議員に力を与えるにしても、小沢一郎氏が従来から言っていた国会議員が内閣に100人単位で入るという政治主導の絵は、結局のところ、内閣法や国会法の改正がないので、一切実現していません。政務三役に入れなかった大半の議員の不満がうっ積し、彼らの存在意義が失われるという結果になっただけです。あと二院制の下では、いくら政府や政務三役が決めても、連立内閣や衆参のねじれがある状況だと、複数の党の幹部が一致しないと実際は何も法律が国会を通過して実際の法律にならないという現実もあります。政務三役よりも幹事長室に最終的な権限が集中していたのが、鳩山首相・小沢幹事長時代の民主党政権でしたし、「議員立法の禁止」という党の方針もありました。

以上を踏まえると、おそらく改革にとって肝心要のところは、「霞が関の官僚でない主体が立法を行える仕組み」だと思います。都市部の多くの有権者の支持を受けているみんなの党も、シンクタンクを設立する公約を掲げていましたが、いまだに当該議員立法を提出するには至っていませんし、日本では国会議員に立法機能がほとんどないことが問題としてあります。

私は一つの補完的な案として、地方議会の議員が国会の立法機能をサポートすることの兼職を広範に認めて予算をつけ、そして立法能力で頭角を現した地方議員には、国会議員への道が開かれるというようなシステムが良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。